スマホにくぎ付け



久しぶりに東京の空の下で生活をしてきた。



二日間ほど、

熊本地震の余震で怖い思いをした後に、

午後からの飛行機で羽田に向かった。



高速道路を走るリムジンバスから、

空に向かって乱立するビルの群が見える。

 


そこは人影もなく、建物の輪郭に沿って光に包まれた「未来都市」、

まるでアニメの映像さながらキラキラ輝いていた。

 



墨田区森下に宿を決め、

近くの餃子屋さんで焼き餃子をつまみ、壜ビールで喉をうるおした。



翌日は都営新宿線に乗り江戸川区瑞江まで移動する、

この時間の車内は、朝の出勤タイムから外れていて、

乗客はシートに腰を落とし、ほどよく空いていた。

 



車内風景としてぼんやりと眺めていて、ふと気が付けば、

こちらのシートも向かいのシートもその先も・・・、

皆が一様にスマホに向き合ってせっせと指を動かしている。

 



この風景は、ずっと以前携帯電話が普及した頃と同じだ、

その頃は若者学生が主流だったが今回は違う、

30代?40代?いやいや爺様婆様まで全年齢に広がっている。

 



電車は地上に出て眼下に荒川、中川の川面が青く光っていた、

ここ江戸川区は懐かしい地域、私が20代後半の頃、

新小岩をベースに営業活動を展開した所。



江戸川区にも「おいてけ堀ってあったナァ・・・」とつぶやくと、

すかさず「おいてけ堀は墨田区の話よ」と妻から訂正の一言。



私の脳裏には、

当時の江戸川区の風景の中に「おいてけ堀」の看板がリアルに再現されていた。



駅を降りると、大きな近郊地図が目にはいった、

瑞江、一之江、篠崎・・・懐かしい地名が並んでいた。